はじめに
多くの工場や施設では、人手不足や設備の老朽化、省エネ対応など、さまざまな課題が山積しています。これらの課題に対し、IoTは「人の手を使わずに」「リアルタイムで」「遠隔から」現場を可視化・制御できる手段として注目を集めています。
この記事では、なぜ今IoTが必要なのか、その背景と導入によるメリットを、工場・施設それぞれの観点から解説します。
工場におけるIoTの必要性
1. 人手不足の補完
作業者の高齢化や若手人材の不足により、多くの工場で人手不足が深刻化しています。IoTを活用することで、機器の操作、各種数値の測定などを自動化・遠隔化することができ、人手に頼らない運用が可能になります。
例えば、ラインの稼働状態をセンシングし、異常時に自動で停止・通知する仕組みを構築することで、常時見張る必要がなくなります。また、人が入りづらい高所・狭所・高温環境での作業をIoTロボットで代替することで、安全性の向上にもつながります。
2. バルブや装置の遠隔操作
工場の現場では、広い敷地内を移動して操作する作業が多く発生します。IoTにより、制御対象のバルブや機器を遠隔でON/OFFできるようにすれば、作業効率が飛躍的に向上し、安全面の改善にもつながります。
たとえば、高所に設置された空調設備の切替操作や、液体供給ラインの手動バルブなど、従来は脚立や現場移動が必要だった作業も、デスクからPCやタブレットで簡単に操作できるようになります。
3. 計測と予兆保全
温度・湿度・振動・電流・圧力などのセンサーを取り付けることで、設備の状態を常時モニタリングできます。異常の兆候を早期に検知し、**トラブルを未然に防ぐ「予兆保全」**に活かせます。
例えば、あるポンプ機器の振動や消費電力に変化が出たとき、異常停止する前に部品の摩耗を検知し、計画的なメンテナンスへとつなげることができます。これにより突発的なライン停止を防ぎ、生産性の維持が可能になります。
4. 入退場管理や作業履歴の記録
作業員の入退場時間や作業履歴を自動で記録することで、勤怠管理や安全管理、トレーサビリティの向上が図れます。
例えば、特定エリアへの入室をICカードや顔認証で制限し、誰が・いつ・どこにいたかをログ化することで、万一の事故や不正の際にも迅速な対応が可能になります。また、記録されたデータはISO対応や外部監査への証跡としても有効です。
各種施設におけるIoTの必要性
1. 無人運営を実現する鍵
貸し会議室やレンタルオフィス、宿泊施設などでは、人を常駐させずに運営したいというニーズが高まっています。IoTを活用することで、入退室の自動管理・鍵の遠隔操作・利用状況のモニタリングなどが実現でき、完全無人運営も可能になります。
たとえば、宿泊施設ではチェックイン・チェックアウトをWeb予約と連携し、入室は暗証番号やスマートロック、室内の空調・照明は入室に連動して自動制御することで、運営コストを抑えながらも快適な利用環境を実現できます。
2. 利用予約との連携
予約システムと連動させることで、予約者だけが入室できるようドアロックを制御したり、利用時間に合わせて空調や照明を自動制御したりと、サービスの利便性と省エネを両立できます。
さらに、利用が終わったあとに自動で電源を切ったり、退室状況に応じて清掃指示を出したりするなど、運営業務の効率化にも貢献します。無人管理でもサービス品質を保つための重要な要素です。
3. 利用状況の可視化とリモート管理
スマートフォンやPCから、各施設の利用状況・トラブル発生などをリアルタイムで把握でき、管理業務の効率化が図れます。
たとえば、遠隔地にある複数の会議室や店舗の状態を一元管理できるようになれば、拠点ごとに人員を配置する必要がなくなり、大幅な人件費削減が可能です。また、トラブルや緊急時にも即座に通知・対応できる環境が整います。
4. その他の応用例
- 駐車場の空き状況をIoTセンサーで検知し、Web上で表示
- ゴミ箱の満杯状況を通知して、効率的な回収へ
- 照明や空調の人感センサー連動による節電
- トイレや更衣室の利用状況表示で混雑緩和や利用者満足度向上
- 防犯カメラと連携した自動録画・遠隔確認システム
まとめ
IoTは「管理の手間を減らす」「省力化する」だけでなく、新しい運営スタイルの実現にもつながるテクノロジーです。特に工場や無人施設のような人手をかけにくい現場では、業務の自動化・最適化のための強力な手段となります。
次回は、IoT導入のステップや、何から始めればいいか?という具体的なアクションについて紹介します。
テップや、何から始めればいいか?という具体的なアクションについて紹介します。
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