はじめに
電気代の高騰や省エネの義務化が進むなか、オフィスビルや商業施設、工場、学校などあらゆる施設にとって、エネルギーの無駄を「見える化」し、効率的に制御・最適化することが求められています。
その実現手段として注目されているのが、BEMS(ビルエネルギー管理システム)とIoTの連携です。
この記事では、そもそもBEMSとは何か、IoTと連携することで何ができるのか、そして実際の導入メリットについて、初心者にもわかりやすく解説します。
BEMSとは?(ビルエネルギー管理システム)
BEMSとは、Building Energy Management System(ビルエネルギー管理システム)の略で、
建物内のエネルギー使用状況(電気・ガス・空調・照明など)を計測・管理し、最適に制御するシステムのことです。
従来は大規模ビルにしか導入されていませんでしたが、最近ではIoTの進化により中小規模施設でも導入しやすくなっています。
BEMS単体でも効果はありますが、IoTと組み合わせることで、より柔軟・高精度・リアルタイムなエネルギー管理が可能になります。
IoTと連携してできること
■ 空調設備の自動制御
IoTで設置された温度・湿度センサーが、リアルタイムで各部屋の環境を計測。そのデータをもとに、BEMSが空調のオンオフや設定温度を自動制御します。
- 例:日差しが強く室温が上がってきた部屋だけ、早めに空調を始動
- 例:人がいない部屋の空調は自動で停止
これにより、快適性を維持しながら、エネルギーの無駄を防ぐことができます。
■ 照明のオンオフ制御と調光
人感センサーや照度センサーと連動し、必要な時だけ照明を点灯したり、外光に応じて明るさを自動調整したりできます。
- 会議室が空になったら自動消灯
- 晴れた昼間は照明を弱め、曇天時は少し明るく補正
人手による操作が不要になり、省エネと業務効率を両立できます。
■ 電力使用量の可視化と異常検知
分電盤や設備に電流センサーを取り付け、設備ごとの電力使用を細かく把握。クラウドと連携すれば、
- 時間帯ごとの電力グラフの表示
- 特定機器の“待機電力”の検出
- 急激な消費増加の通知
など、異常やムダを自動的に察知し、担当者に知らせることが可能です。
■ 空調・照明・電力の一元管理ダッシュボード
これらすべての情報は、クラウドベースの管理画面(ダッシュボード)に集約され、
- 現場のエネルギー使用状況を一目で把握
- 拠点ごとの比較
- 改善ポイントの発見
といった**“エネルギー経営の見える化”**を実現します。
導入メリットまとめ
- エネルギーコストの削減:無駄な使用を防ぎ、ピークカットで契約容量の見直しも可能に
- 省エネ法・ZEBなど制度対応:補助金制度とも相性が良く、導入メリットが明確
- スタッフの負担軽減:手動操作や巡回チェックが不要になり、現場作業を効率化
- 環境負荷の低減:CO2排出量の削減にもつながり、CSR・ESG観点でも評価される
まとめ
IoTとBEMSの連携は、単なる「省エネ」ではなく、現場のオペレーションや管理体制そのものをスマートに変える可能性を秘めています。
電力の“見える化”から“自動制御”、そして“最適化”へ。
これからの施設運営には、IoT × BEMSの視点が欠かせない時代です。
IoTの相談は田村技術研究所まで
まだ形の見えない状態の相談から、具体的なアイディアの相談まで、IoTに関すること、開発に関することは何でもお気軽にご相談ください。親身に寄り添ったサポートをお約束いたします。