はじめに
IoTはセンサーをつけて情報を「見る」だけでは本当の効果は発揮できません。データを他のシステムと連携することで、はじめて“業務の自動化”や“顧客サービスの向上”につながるのです。
この記事では、IoTと相性の良い3つのシステム──クラウド、予約管理、AI──との連携例をご紹介します。
1. クラウドシステムとの連携
■ どんなことができる?
- センサーが取得したデータを、遠隔からリアルタイムで閲覧
- 現場に設置された温湿度センサーや電力センサーのデータを、スマホやPCでいつでもどこでも確認できます。例えば、出張中の担当者でも現場の状況を把握でき、トラブルの兆候に即対応が可能です。
- 異常値を検知したらスマホやPCに通知
- しきい値を超えた場合、自動で担当者へアラートを送信。例えば、冷蔵庫の温度が異常になったとき、現場にいなくてもすぐに対応できます。
- ログデータを自動で蓄積し、後から分析・ダウンロード可能
- 毎日の温度や電力量などの履歴を自動で保存し、CSVやグラフ形式で出力可能。報告書の作成や、異常傾向の分析にも活用できます。
■ 活用シーン
- 複数拠点の遠隔監視(工場・農場・店舗)
- それぞれの拠点にセンサーを設置し、本部や本社側でまとめて状況確認。
- 無人施設の状態管理(温湿度・開閉・電力使用)
- 施設にスタッフを常駐させなくても、状態をクラウド上で一括管理可能。
- 夜間や休日でもトラブル検知 → 担当者へ即通知
- 例えば深夜に起こった設備異常でも、関係者がスマホ通知で把握し、迅速な初動が可能。
■ 連携のメリット
- 拠点に行かずに確認・対応ができる
- 紙や手作業での記録が不要に
- データの一元化・自動蓄積で報告業務も効率化
2. 予約管理システムとの連携
■ どんなことができる?
- 予約情報と連動して、ドアロックや電源のON/OFFを自動化
- 利用者が予約を完了すると、予約時間にあわせてドアが解錠されたり、設備の電源がONになります。人手を介さずにスムーズな運用が実現。
- 予約時間に合わせて照明・空調を自動制御
- 利用者が入室する前に部屋を快適な状態に準備。退室時には自動で電源をOFFにすることで、節電効果も得られます。
- 利用履歴と入退室ログを自動で紐づけ
- 誰がいつ利用したかの記録を自動取得。トラブル発生時の対応や、不正利用の抑止にもつながります。
■ 活用シーン
- レンタル会議室・宿泊施設の無人運営
- 受付スタッフ不要で、予約〜入室〜退室までを自動化。チェックイン・チェックアウトも非対面で完了。
- EV充電や洗車スペースなど時間制の設備予約
- 時間帯ごとに設備を開放・施錠。ダブルブッキングや無断利用を防止。
- スタジオ・ジム・レッスンルームの入退室制御
- 時間外の不正入室を防ぎ、利用状況の見える化にも。
■ 連携のメリット
- 人を介さずに「入室→利用→退出」が完結
- セキュリティ確保と利便性の両立
- 無断利用やトラブルの防止、顧客満足度の向上
3. AIとの連携(データ活用)
■ どんなことができる?
- センサーから得た情報をAIが分析し、異常傾向を学習
- 通常時と異なる動き(振動・電流・音など)をAIが継続的に学習し、「異常の兆候」を自動検知します。設備トラブルの予防保全に最適。
- 利用傾向や省エネ効率などを自動で最適化
- 空調や照明の使用パターンをAIが分析し、自動的に設定温度や点灯時間を調整するなど、運用効率をアップ。
- 音声や画像と組み合わせて、より高度な制御や識別も可能
- 画像認識で顔を識別しドアを解錠したり、音声コマンドで機器を操作したりと、UIの幅が広がります。
■ 活用シーン
- 予知保全:振動や音を分析し、故障予兆を自動検出
- 混雑予測・需要予測:利用傾向を学習し、混雑時の通知や人員配置に活用
- 画像認識連携:カメラ映像と組み合わせて自動記録・認識(無人レジ、顔認証など)
■ 連携のメリット
- “見て判断する”から“自動で考えて動く”へ
- データの価値を最大化し、さらなる省力化・収益化へつなげられる
まとめ
IoTは単体では「情報を集める装置」ですが、クラウド・予約・AIなどと連携することで、「現場を動かす仕組み」へと進化します。システム全体をつなぐことで、業務の自動化・サービス向上・コスト削減の相乗効果が生まれます。
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