業務改善って言われたら何をすれば良い?【設備管理編】

システム開発

「業務改善を進めてください」と言われても、設備管理の現場では、何から手を付ければよいのか分からないことが少なくありません。設備管理の仕事は、日常点検、定期点検、巡回、異常対応、故障連絡、修理手配、保守履歴の記録、設備台帳の更新、協力会社との調整、報告資料の作成など、多くの業務が並行して発生します。しかも、それらは設備が正常に動いている間は目立ちにくい一方で、ひとたびトラブルが起きると一気に負荷が高まります。そのため、日常業務の中に改善の種があっても、目の前の対応を優先するうちに見直しが後回しになりやすい分野です。

さらに、設備管理は単独の部署だけで完結することが少なく、現場利用者、総務、工場、店舗、本部、協力会社、管理会社、施工会社など、さまざまな関係者とのやり取りが発生します。設備の不具合一つをとっても、「誰が見つけたのか」「どこへ連絡したのか」「誰が対応したのか」「再発防止をどうするのか」といった情報が必要になります。もし、その情報が紙、Excel、メール、電話、口頭連絡に分散していると、確認や引き継ぎに大きな手間がかかるようになります。

大切なのは、いきなり大規模な監視システムや管理システムを導入しようとすることではありません。まずは、どの業務に時間がかかっているのか、どの確認が毎回発生しているのか、どの情報が紙やExcelやメールに分散しているのかを整理することです。そこが見えてくると、設備管理でどこから改善すべきかがかなり分かりやすくなります。

業務改善と言われても、何から始めればよいかわからない

設備管理の改善が難しく感じられる理由の一つは、日々の業務が「当たり前にやっている確認作業」の積み重ねになりやすいことです。たとえば、巡回して異常がないかを見る、点検表へ記入する、不具合の連絡を電話で受ける、修理依頼をメールで送る、完了後にExcel台帳を更新する、といった流れは珍しくありません。一つひとつを見ると特別に難しい仕事ではないように見えますが、それが毎日、毎週、毎月、複数の設備に対して繰り返されることで、大きな工数になります。

また、設備管理では「問題が起きないこと」が成果と見なされやすいため、普段の運用が非効率でも、それが表面化しにくいという特徴があります。たとえば、点検記録を紙で残していても、事故が起きていなければ問題視されにくいです。しかし、記録の検索に時間がかかる、同じ異常が再発しているのに履歴が活用されていない、保守会社への連絡経路が担当者依存になっている、といった非効率は、少しずつ現場の負担を増やしていきます。

そのため、設備管理の業務改善では、「何か大きな障害が起きているかどうか」ではなく、「毎日どの手間が積み上がっているか」を見ることが重要です。頻度が高い業務ほど、改善したときの効果が大きくなりやすいからです。

設備管理でよくある非効率な業務

設備管理で非効率が起こりやすい業務には、いくつかの典型的なパターンがあります。特に、点検記録、故障対応、設備台帳、保守履歴、協力会社との連携は、手間が増えやすい代表例です。

紙の点検表への記録

設備の巡回点検や定期点検の結果を、紙の点検表へ手書きしている場合、あとから確認しにくくなりやすいです。設備の異常傾向を見ようとしても、紙をめくって探す必要があり、集計や比較にも手間がかかります。さらに、紙に書いた内容をあとからExcelへ入力し直している場合は、二重入力が発生します。

故障・不具合の連絡受付

現場からの不具合連絡を電話や口頭で受けている場合、聞き漏れや伝達漏れが起こりやすくなります。設備名、場所、症状、緊急度、発生時刻などの情報が十分に揃わないまま対応が始まることもあり、確認のやり取りが何度も発生しやすいです。

設備台帳の更新

設備台帳をExcelで管理していても、更新が担当者任せになっていると、交換部品、修理履歴、設置日、保証期間、保守契約情報などが抜けやすくなります。台帳が正確でないと、故障時や更新時の判断に時間がかかるようになります。

保守履歴の整理

故障対応や点検対応の履歴が、メール、紙報告書、Excel、業者からのPDFなどに分散していると、あとから設備ごとの履歴を追うのが大変になります。再発トラブルの傾向分析や、修繕計画の検討にも支障が出やすくなります。

協力会社や保守業者とのやり取り

協力会社への修理依頼や点検依頼を、電話やメールで個別に行っている場合、誰が依頼したのか、いつ対応予定なのか、完了報告は来たのか、といった進捗が見えにくくなります。担当者が変わると状況が追えなくなることもあります。

まず見直すべき設備管理業務の特徴

設備管理の業務の中でも、特に見直しやすく、改善効果が出やすいものには共通点があります。

  • 毎日または定期的に必ず発生する
  • 紙への手書きやExcel転記がある
  • 電話や口頭確認が多い
  • 複数の担当者や業者が関わる
  • 履歴確認が必要になることが多い
  • 担当者の経験に頼っている
  • 異常時に慌てて情報を探している

こうした業務は、一つひとつは小さく見えても、件数や頻度が多いために工数が積み上がりやすいです。設備管理では、点検、巡回、異常受付、履歴管理のような「日常的に発生する仕事」から見直すと、改善効果が見えやすくなります。

Excel・紙・メールで限界が出やすいポイント

設備管理では、Excel・紙・メールに加えて、電話や口頭連絡も多く使われます。しかし、この方法は、設備数や拠点数、関係者が増えるほど限界が見えやすくなります。

最新情報が分かりにくい

設備台帳、点検一覧、修理履歴、保守計画がそれぞれ別のExcelや紙で管理されていると、どの情報が最新なのか分かりにくくなります。担当者ごとに持っている一覧が違うと、確認のたびに手間がかかります。

故障対応の経緯が追いにくい

不具合連絡が電話、修理依頼がメール、完了報告が紙というように情報が分散していると、一つの対応の流れを追いにくくなります。あとから「この件はどう対応したのか」を調べるだけでも時間がかかります。

再入力が発生する

紙の点検表をExcelへ転記し、そこから報告書を作り、さらに設備台帳にも反映するような流れでは、二重入力や三重入力が発生します。これは時間がかかるだけでなく、転記漏れや入力ミスの原因にもなります。

異常の傾向が見えにくい

記録が紙やバラバラのExcelに分かれていると、「この設備で同じ故障が何回起きているのか」「この拠点で異常が多い設備はどれか」といった傾向が見えにくくなります。結果として、対処療法的な対応が続きやすくなります。

引き継ぎが難しい

設備管理は担当者の経験や記憶に頼りやすい分野です。どの設備に注意が必要か、どの業者へ連絡するべきか、過去にどんな不具合があったかが担当者の頭の中にある状態だと、異動や退職のときに引き継ぎが難しくなります。

システム化しやすい業務例

設備管理の業務の中でも、次のようなものは比較的システム化しやすく、改善効果が出やすいです。

  • 点検結果の入力と履歴管理
  • 設備台帳の一元管理
  • 故障・不具合の受付と対応履歴管理
  • 保守計画や定期点検予定の一覧管理
  • 協力会社への依頼と対応進捗管理
  • 写真付き報告の記録
  • 設備ごとの修理履歴の検索

特に、「記録する」「一覧で見る」「履歴を追う」「関係者へ共有する」という流れがある業務は、仕組み化しやすい傾向があります。すべてを一度に変える必要はなく、まずは点検記録や故障受付のような、日々の負担が分かりやすい部分から着手するだけでも、大きな改善につながることがあります。

いきなり大規模開発しなくてよい理由

設備管理の改善というと、監視システム、BMS、保全管理システムのような大きな仕組みを思い浮かべることもあります。しかし、最初からそこまで大きく進める必要はありません。むしろ、いきなり全体を変えようとすると、現場で本当に困っている細かな運用を十分に整理できないまま、使いにくい仕組みができてしまうことがあります。

設備管理では、まず「どこで紙が多いのか」「どこで電話確認が多いのか」「どこで履歴が追いにくくなっているのか」を見つけ、その一部から見直す方が現実的です。たとえば、まずは点検表だけをデジタル化する、不具合受付だけを整理する、設備台帳だけを一元化するといった方法でも十分に意味があります。

小さく始めることで、現場が本当に使いやすい形を確認しながら改善を進められますし、必要以上に複雑な仕組みを作らずに済みます。

小さく始める改善ステップ

1. 日常的に発生している記録業務を書き出す

まずは、日常点検、巡回記録、不具合受付、設備台帳更新、保守依頼など、毎日または定期的に発生している業務を書き出します。これによって、改善対象の全体像が見えてきます。

2. 手書きや転記が多い業務を見つける

その中から、「紙に書いたあとにExcelへ入れている」「メールを見ながら台帳を更新している」といった二重作業があるものを探します。こうした業務は改善効果が出やすいです。

3. 確認が多い業務を特定する

故障対応、業者依頼、点検予定、設備情報確認など、何度も確認が発生している業務を見つけます。確認が多いということは、情報の整理方法や共有方法に改善余地があるということです。

4. 一つの業務だけを対象に見直す

最初から設備管理全体を変えようとせず、まずは点検記録だけ、故障受付だけ、設備台帳だけというように一つの業務に絞って改善します。その方が現場への負担も小さく、進めやすくなります。

5. 効果を見ながら横展開する

一つの業務で改善効果が出たら、その考え方をほかの設備管理業務にも広げていきます。こうすると、無理なく設備管理全体の改善を進めることができます。

まとめ

設備管理の業務改善は、いきなり大規模な仕組みを入れることから始める必要はありません。まずは、どの業務に非効率が集中しているのかを整理し、紙・Excel・メール・電話・口頭連絡で限界が出やすい部分から見直していくことが大切です。

特に、点検、巡回、不具合受付、設備台帳、保守履歴のように、日常的に繰り返し発生する業務は改善効果が出やすいポイントです。設備管理では「止めないこと」「安全に運用すること」が重要だからこそ、記録しやすく、確認しやすく、あとから履歴を追いやすい仕組みを作ることが非常に重要になります。

「業務改善と言われても何から始めればよいか分からない」という場合は、まず日常的に発生している記録や確認の仕事を書き出し、その中で一番転記が多いもの、一番確認が多いものを見つけることから始めてみるのがおすすめです。小さく始めても、積み重ねることで現場の負担は大きく変わっていきます。

設備管理の業務改善をどこから始めるべきか整理したい方へ

「紙の点検表やExcel管理が多く、履歴確認や引き継ぎに手間がかかっている」「故障対応や業者手配の情報が分散していて、状況確認に時間がかかる」「設備管理のどの業務を見直せば効果が出るのか分からない」――そのようなお悩みがあれば、まずは現在の業務内容や運用の流れを整理するところからご相談いただけます。

設備管理で日常的に発生している記録、確認、共有、対応履歴の流れをもとに、どの部分から見直すと効果が出やすいか、無理のない進め方も含めてご提案します。

お問い合わせはこちら

タイトルとURLをコピーしました